南原グループでは、道路に関するあらゆるお悩みを解決するために、ICT施工を積極的に活用しています。ICT施工の概要や南原グループによる取り組みの事例についてご紹介します。

ICT施工とは?

近年の建設業界は人材不足が急速に進んでおり、国土交通省は生産性や安全性を向上するために、「i-Construction」という取り組みを行っています。その中の主要施策の1つが「ICT施工」です。

国土交通省が定める「i-Construction」の3つの柱

  1. ICTの全面的な活用(ICT土木)
  2. 規格の標準化(コンクリート工)
  3. 施工時期の標準化

ICT施工とは、土木・建設現場での情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)の活用を意味し、ITによる情報処理と通信ネットワークの両方を組み合わせた施工法のことを指します。ICT施工の導入は、調査・測量、設計、施工、検査などのあらゆる生産工程の効率化に加えて、工事の安全性の向上にもつながるため、さまざまな土木・建設現場の働き方改革の一環としても活用されています。

舗装業界でのICT施工の活用

平成29年度よりICT舗装工が施行され、舗装業界にもi-Constructionの活用がはじまりました。以降、舗装業界においてもICT施工が活用されており、作業時間や現場担当者への負担の削減などの効果が認められています。南原グループでは、ICT施工を積極的に活用しており、その一例をご紹介します。

新しい3D切削システム MMnav

舗装業界のこれまでの課題

舗装工事は、新しく道路をつくるために必要な舗装(舗装新設)よりも、すでにつくられた道路の維持・修繕工事がほとんどで、7割程度が維持修繕工となっています。

舗装修繕工事では、「切削オーバーレイ工」という工法がメインで用いられており、切削オーバーレイ工のICT化が舗装業界のICT化につながると考えられていました。

切削オーバーレイ工とは?

切削オーバーレイ工とは、「切削工」と「オーバーレイ工」という2種類の工法を同時に行う舗装工事です。

工法名概要
切削工路面のデコボコやひび割れを切削機で削る作業。削ることで路面の表層を平らな状態にします。
オーバーレイ工既存の道路に対し、新たに舗装層を重ねる作業。広範囲な作業が求められる場合に施される。

オーバーレイ工法は単純に新たな舗装を重ねるだけなため、交通量が多い道路など状態が悪い路面の場合きれいな水平にならない場合があります。こういった場合に、切削機で表層部分を削ってから平らにしてから、新たな舗装を重ねる切削オーバーレイ工が用いられます。切削オーバーレイ工は、低騒音で短時間に施工が行えるため、舗装修繕工事によく採用されています。

従来の切削オーバーレイ工のICT化で、新たな課題も発生。

これまで切削オーバーレイ工には、「3D-MC-TS」と呼ばれるICT施工システムが活用されていましたが、メリットとともに新たな課題も生まれていました。

メリット
①現場担当者の負担軽減
・3次元設計データ作成後、現場でマニュアル操作のための計算をする必要がない。
・切削深さのマーキングが不要。

②品質の向上
・切削精度向上
・切削面の平たん性向上

③安全性の向上
デメリット
①環境による困難な状況が発生。
・小規模現場では省力化が難しい
・街頭・街路樹・橋梁などの障害物、カーブで視準できない場合も考え、TSの設置場所を事前に確認する必要がある。
・TS据替作業が多く、大型三脚の設置が必要なケースあり。

②TSのお守りが必要
・追尾ロストの可能性あり。
・他反射素材を誤追尾する可能性あり。

そこで南原グループでは、切削オーバーレイ工のICT化の問題を解消するために「MMnav」というシステムを導入しています。

MMnavがこれまでの課題を解決!

既存システムでは、TS(トータルステーション)と呼ばれる距離や角度を計る機械の設置が課題とされてきました。南原グループが導入しているMMnavでは切削機の位置計測をGNSSで行っているため、TSを据え付ける作業がなくなり、従来の作業フローを簡素化できます。

STEP1
①GNSSによるローカライゼーション※事前作業
②GNSSや制御システムを設置※事前作業
③施工範囲に切削機を搬入

STEP2
①GNSSの測位状況を確認
②レーザ距離計の0セットを確認

STEP3
①水平位置の現状面と設計面の厚み(距離)をリアルタイム計算
②設計面と現状面までの距離をレーザ距離計で計測
③現況データと設計面までの厚み(距離)を制御して切削

・GNSSは設計データの水平位置確認のみ(GNSSの高さデータは使わない)
・水平位置が分かればその点の現状面と設計面データの厚みから機械制御が可能

MMnavには、これまでのICT施工のメリットを活かしつつ課題を解消できます!

従来工法→MMnavによるメリット
  • 作業時間の短縮
  • のべ人工作業時間の短縮
  • 切削深さマーキング不要
  • 切削厚の面的施工が可能 → 品質の向上
  • 省人化による安全性の向上
    ※建設業は全産業の33%の死亡災害が発生している
3D-MC-TS→MMnavによるメリット
  • TSを設置する必要がない
    ・TS設置計画や設置場所の確保、大型三脚の設置が不要
    ・ロストや誤追尾の心配がなく、TSのお守りが不要
  • 作業時間の短縮
  • のべ人工作業時間の短縮

 

ICT施工の効果

  1. 均一な路面仕上げ:ICTによる路面切削は、既存の路面の高低差や凹凸を均一に仕上げることができます。これにより、表層のアスファルト舗装が均一に仕上げることができ、道路上の車両の乗り心地を向上させるとともに、車両の走行時に発生する振動を減少させることができます。また、均一な路面仕上げにより、車両のタイヤ摩耗を軽減し、車両の寿命を延ばすことができます。
  2. 安全性の向上:ICTは、路面の均一性を高めることで、路面の滑り止め性能を向上させる効果があります。特に、雨や雪の日などの滑りやすい状況でも、均一な路面仕上げにより車両のグリップを確保することができます。これにより、交通事故のリスクを低減し、安全な運転環境を提供することができます。
  3. 環境への配慮:ICTによる路面切削は、作業効率を向上させることができます。作業効率の向上により、燃料の使用量を削減することができます。また、均一な路面仕上げにより、車両の騒音や振動の発生を抑えることができます。これにより、周辺環境への影響を軽減し、環境に優しい道路整備を実現することができます。

以上のように、ICTによる路面切削は、均一な路面仕上げ、耐久性の向上、安全性の向上、環境への配慮など、様々な効果をもたらします。

南原グループのICT施工事例

南原グループで行っているICT施工の取組みについてご紹介します。

 

長崎地区現道工事でのICT施工
切削(施工)後、TSにて確認したところ誤差2~3ミリ以内の仕上がりとなり今後のICTにおける施工性向上へ大きく進展できると期待できます。
諫早地区においてICT施工
前回行ったTSにてほぼ同等の誤差2~3ミリ以内の仕上がりとなり今後のICTにおける施工性向上へ大きく進展できると期待できます。
3D切削システムの試験施工
今回の試験施工にてRD-MCは周囲の障害物に影響を受けやすい3D-MCTSと比べ、影響を受けること無く施工可能であるこ事が確認できました。